環境省、配送車両のEV化で脱炭素と防災機能を両立する補助制度スタート

2021.08.02 Update

環境省、配送車両のEV化で脱炭素と防災機能を両立する補助制度スタート

環境省が、脱炭素物流モデルの構築配送拠点の防災拠点化を図る補助制度を開始しました。輸送とエネルギーのセクターカップリングで脱炭素を推進します。

マスタープラン策定とモデル構築支援が対象

補助事業の名称は「令和3年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(バッテリー交換式EVとバッテリーステーション活用による地域貢献型脱炭素物流等構築事業)」です。エネルギーマネジメントと防災拠点化の両立を図る「A.マスタープラン策定事業」と、バッテリー交換式車両を導入する「B.モデル構築支援事業」が対象事業となっています。

「A.マスタープラン策定事業」では、配送用のバッテリー交換式車両とバッテリーステーションを導入し、エネルギーマネジメントと防災拠点化を両立するマスタープランを外部の専門家を交えて策定することが求められています。「B.モデル構築支援事業」はバッテリー交換式車両とバッテリーステーションの導入によってCO2削減を行うこととされています。

どちらの事業にも共通する要件は、バッテリーステーションに自家消費型の再生可能エネルギー発電設備を設置し、発電された電力を直接バッテリーステーションに接続すること災害時には防災拠点として機能するよう地域防災計画へ位置付けるなど、地方公共団体との連携を図ることなどです。

「A.マスタープラン策定事業」の補助率は補助対象経費の3/4、交付額の上限は2,000万円ですが「B.モデル構築支援事業」は、補助対象経費の1/2、上限は2億円となっています。いずれも地方自治体のほか民間企業や個人事業主が申請でき、「B.モデル構築支援事業」では民間のリース事業者も認められています。

詳細は執行団体である公益財団法人 北海道環境財団のウェブサイトをご確認ください。

CO2排出量の約2割を占める運輸部門

この補助事業では、輸送とエネルギーをセクターカップリングさせ、脱炭素化と防災拠点の整備の両立を目指しています。ここで、運輸部門によるCO2排出量が国内全体の排出量のうち、どれくらいを占めるのかを改めて確認してみましょう。

(出典:国土交通省『運輸部門における二酸化炭素排出量』)

2019年度のCO2総排出量11億800万トンのうち、運輸部門は2億600万トンで18.6%を占めます。その内訳をみると、自動車による排出が最も多く、運輸部門の86.1%にのぼります。

自動車の中には自家用乗用車も含まれますが、物流や配送に使われる貨物車も多くを占めています。このことから、物流の脱炭素化が重要な課題のひとつであることがわかります。

環境省は、交換式バッテリーは平時には再生可能エネルギー出力の変動の受け皿としても活躍が期待できるとしています。また、この補助事業を新型コロナウイルスの影響で需要が増大しつつある物流・配送分野への支援としても位置付けています。この事業が運輸セクターの脱炭素化だけでなく、さまざまな課題解決につながることを期待します。

制作:office SOTO 山下幸恵 Facebook