「森林 × 脱炭素チャレンジ2022」、森林資源を脱炭素の視点で捉え直す

2022.08.09 Update

脱炭素 CO2吸収

「森林 × 脱炭素チャレンジ2022」、森林資源を脱炭素の視点で捉え直す

森林によるCO2吸収を促進する取り組みも、脱炭素のためのアクションに位置付けられています。林野庁の「森林 × 脱炭素チャレンジ2022」では、こうした取り組みが表彰されました。

「森林 × 脱炭素チャレンジ2022」とは?

脱炭素といえば、太陽光発電などの再生可能エネルギーを利用した取り組みを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、森林がCO2を吸収するはたらきを上手に活用することも、脱炭素アクションの1つだとされているのです。

「森林 × 脱炭素チャレンジ2022」とは、林野庁が行った顕彰で、企業などが支援した森林整備の内容を審査し、グランプリ1件、優秀賞9件を表彰するものです。応募期間に申請書類を受理された応募者は、林野庁の「グリーンパートナー」として同庁WEBサイトで紹介されます。

応募者にとっては、森林整備の取り組みを行っていることを示すことで、脱炭素やSDGsへの貢献を広くPRすることができます。

森林保全や地域との取り組みが評価

「森林 × 脱炭素チャレンジ2022」の応募はすでに終了していますが、このほど、受賞者が発表されました。グランプリに輝いたのは、アサヒビールジャパン株式会社で、広島県内の社有林を活用した認証の取得や、近隣との森林保全管理協定の締結、地元の教育機関への森林環境教育の実施などが高く評価されました。年間のCO2吸収量は816トンCO2とされています。

優秀賞(林野庁長官賞)には、北海道池田町など9の企業や団体が選出されました。北海道池田町では、町民や近隣住民のみなさんが、町有の広葉樹を整備し、伐採した木材を地元の製炭事業者へ供給するなど、地元産業への貢献が受賞の決め手となったようです。年間のCO2吸収量は10トンCO2でした。

(参考:森林×脱炭素チャレンジ2022:林野庁

森林資源を活用し脱炭素と地域課題の解決を

(新たな収入源の確保による森林・林業の環境と経済の好循環の実現。出典:林野庁『カーボンニュートラルの実現等に資する森林等への投資に係るガイドライン』中間とりまとめ

さらに、林野庁は6月20日、脱炭素化の中で森林・林業分野への投資が高まっていることを受け「カーボンニュートラルの実現等に資する森林等への投資に係るガイドライン」の中間とりまとめを公表。「カーボンニュートラルへの貢献度を評価する仕組み」「生物多様性の確保等への貢献度を評価する仕組み」の2つを評価する手法を整理しました。

事業者がこうした森林・林業分野で脱炭素の取り組みを進めるには、地方自治体など地域との連携やコミュニケーションが欠かせないでしょう。地方自治体にとってみると、脱炭素の推進に加え、新たな産業の誘致や雇用の創出を期待できるかもしれません。

脱炭素を実現するためには、再生可能エネルギーのほかにもさまざまな方法があり、その1つが森林資源の活用だといえるのです。地域の特性を利用しながら、脱炭素と地域課題の解決を目指す取り組みが、さらに活性化するよう望まれています。

(参考:民間資金を活用した森林づくりの推進に向けた森林等への投資案件に係る評価の仕組みづくりについて:林野庁

制作:office SOTO 山下幸恵 Facebook