プラスチック資源循環促進法が4月施行。市区町村の回収・再利用化に措置も

2021.09.16 Update

SDGs サーキュラーエコノミー

プラスチック資源循環促進法が4月施行。市区町村の回収・再利用化に措置も

プラスチックごみを減らし、資源循環を促す「プラスチック資源循環促進法」が2022年4月から施行されます。基本方針やプロセスごとの措置が定められました。

市区町村の回収・再利用化に新たな措置

「プラスチック資源循環促進法」とは、製品の設計からプラスチック廃棄物の処理に至る全プロセスで、関係者にプラスチック資源循環の取組み(3R+Renewable)を促すものです。今年6月に成立し、2022年4月からの施行が予定されています。

「プラスチック廃棄物の排出の抑制、再資源化に資する環境配慮設計」「ワンウェイプラスチックの使用の合理化」「プラスチック廃棄物の分別収集、自主回収、再資源化」などの関する基本方針が策定されます。

また、設計・製造、販売・提供、排出・回収・リサイクルといったプロセスにおける個別の措置も定められました。以下、プロセスごとの措置事項を紹介します。

①設計・製造

製造事業者などが努めるべき「環境配慮設計指針」を策定し、この指針に適合した製品を認定する仕組みが設けられます。また、認定製品は国が率先して利用し、リサイクル材の活用のための設備補助なども行うとされました。

②販売・提供

小売店や宿泊業といったプラスチック製品の提供事業者に対し、取り組むべき判断基準を策定します。プラスチック製フォーク、スプーン、ナイフ、マドラー、ストロー、ヘアブラシ、くしかみそり、シャワー用のキャップ、歯ブラシ、ハンガー、衣類用カバーの12品目を指定し、使用削減や代替素材への転換を促します。

③排出・回収・リサイクル

市区町村の分別回収・再商品化や製造・販売事業者による自主回収、排出事業者の排出抑制・再資源化について措置が講じられます。

市区町村の分別回収においては、容器包装リサイクル法の指定法人に対する分別収集や再商品化の委託が可能になります。また、中間処理工程の一体化・合理化として、中間処理業者への委託も認められます。

(出典:環境省 第10回産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会プラスチック資源循環戦略ワーキンググループ合同会議 資料1より抜粋)

プラスチック廃棄物をめぐる国内外の背景

国内に関しては、プラスチック循環利用協会が発表した2019年のプラスチックのマテリアルフローによると、プラスチック廃棄物を燃やしてエネルギー回収するサーマルリサイクルが60%を占めます。これに対し、再生利用(マテリアルリサイクル)は22%です。

(出典:一般社団法人プラスチック循環利用協会『2019年プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況』より抜粋)

来春施行の「プラスチック資源循環促進法」は努力を促すもので法的な拘束力はありませんが、再利用を促進することでマテリアルリサイクルを強化する意図があります。

一方、海外ではEUが2020年3月に「New Circular Economy Action Plan(新サーキュラーエコノミー行動計画)」を採択しました。循環型経済への移行を促進することで、雇用創出も狙っています。この行動計画では、プラスチックに関するものだけでなく化学戦略や産業戦略も策定されています。

こうした背景もあり、今後、日本でもプラスチックに限らず資源循環の流れは加速していくと思われます。

制作:office SOTO 山下幸恵 Facebook