温室効果ガスの削減目標、46%に引き上げ。次期エネルギー基本計画の検討の方向性は?

2021.05.26 Update

温室効果ガスの削減目標、46%に引き上げ。次期エネルギー基本計画の検討の方向性は?

2021年4月22日、菅首相は、第45回地球温暖化対策推進本部の開催を受け、2030年度の温室効果ガスを2013年度と比べて46%削減するという目標を発表しました。さらに、50%に向けて挑戦を続けると付け加え、パリ協定の目標を7割以上引き上げる野心的な姿勢を明らかにしました。

出典:首相官邸ホームページ

2015年に開催されたパリ協定では、開発途上国を含むすべての主要排出国に排出削減の努力が求められました。日本は、2030年度の温室効果ガスを2013年比で26%削減するという目標を掲げていました。一方、アメリカは2005年比で26~28%削減、EUは1990年比で40%削減を目標としました。

(参考:https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/statement/2021/0422kaiken.html

パリ協定の目標から20ポイント積み増し

さて、新たな日本の削減目標である2013年比46%は、パリ協定で掲げた目標から20ポイントを積みあげた数値です。この数字の根拠について、菅首相は地球温暖化対策推進本部を受けての決定であると回答しました。

気候変動に関して科学的、社会経済的な評価を行うIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)では、地球温暖化を1.5℃に抑制するには、2030年までにCO2排出量を45%削減し、2050年ごろにはネット・ゼロにする必要があるとしています。

(参考:http://www.env.go.jp/earth/ipcc/6th/ar6_sr1.5_overview_presentation.pdf)

アメリカ、カナダも削減目標引き上げへ

さて、菅首相の発表と同日の4月22日から23日にかけて、気候サミット「Leaders Summit on Climate」が開催されました。これは、アメリカが主催して世界各国の首脳がオンラインで集い、新たな排出削減の目標を約束したものです。このサミットでは、アメリカが2005年比で26~28%から50~52%カナダが2005年比で30%から40~45%とするなど目標の引き上げが行われました(EUは2020年12月に1990年比で40%から55%以上に引き上げ)。

出典:経済産業省

国内ではエネルギー基本計画の見直し急ピッチ

オンライン気候サミットの終了後、経済産業省の基本政策分科会では、削減目標の引き上げを反映すべくエネルギー基本計画の見直しについて議論が急がれています。

5月13日に開催された第43回会合では、次期エネルギー基本計画の骨格案が提示されました。再エネ約5~6割、水素・アンモニア約1割、炭素回収・貯留+化石火力・原子力約3~4割という2030年のエネルギーミックス(電源構成)参考値を踏まえ、シナリオ分析がスタートしたところです。

再生可能エネルギー、水素・アンモニア発電、CCUS(炭素の回収・貯留・活用)/カーボンリサイクル+化石火力、(4)原子力――のそれぞれについて、さまざまな課題が整理されています。例えば、再生可能エネルギーに関しては、調整力や送電容量、系統の安定性の確保などが課題として挙げられました。コストはすべての分野における重要な課題のひとつであり、原子力については「国民の信頼回復に努めていくことが必要」とされました。

水素・アンモニア発電、CCUSやカーボンリサイクルを組み合わせた化石火力発電については、技術的な進展が必要とされる部分も多く残されており、2030年までに残り9年を切った今、一層の取り組みのスピードアップが求められるとされました。

次期エネルギー基本計画については、今後も議論が深められる予定です。エネルギー政策の根幹となる計画であるだけに、議論の動向が注目されます。

(参考:https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/

制作:office SOTO 山下幸恵 Facebook