「スマートウエルネスシティ」、少子高齢化を“健幸”に乗り越えるまちづくり

2022.06.21 Update

まちづくり スマートウェルネスシティ

「スマートウエルネスシティ」、少子高齢化を“健幸”に乗り越えるまちづくり

少子高齢・人口減社会の克服を可能とするまちづくりとして注目される「スマートウエルネスシティ」。今回は、スマートウエルネスシティとは何か、どのような取り組みが実現の鍵となるのかについてご紹介します。

スマートウエルネスシティとは?

スマートウエルネスシティ(Smart Wellness City)とは「『ウエルネス(健幸:個々人が健康かつ生きがいを持ち、安心安全で豊かな生活を営むこと)』をまちづくりの中核に位置付け、住民が健康で元気に幸せに暮らせる新しい都市モデル」を指します。

身体の健やかさはもちろん、ひとりひとりの心のあり方にも着目した「健幸」を、まちづくりを通して実現するのが、スマートウエルネスシティの目指すところです。

地域の住民が心身ともに健全に過ごすサポートを行うウエルネスシティには、住民と行政の双方にメリットがもたらされます。例えば、住民には生きがいや豊かな生活、行政にとっては医療費の抑制効果が期待されるのです。

かつてない少子高齢・人口減社会に突入しつつある今、公衆衛生とは一線を画した「多面的な健康政策」の重要性が高まっているといいます。そこで必要とされるのは「部局を超えた連携によって実現するSmart(賢明、快適、エコ、美しい)・Wellness(健幸、安心)・City(まちづくり)のベストプラクティス」であり、それを体現するのがスマートウエルネスシティだと考えられるでしょう。

参考)健『幸』社会の実現に向けて | Smart Wellness City Project

「ウエルネスタウンみつけ」先駆的なモデル

スマートウエルネスシティを目指してさまざまな取り組みを行っている地方自治体のひとつに、新潟県見附市があります。見附市では「第5次見附市総合計画(期間:平成28年度~令和7年度)」の都市の将来像として「スマート ウエルネス みつけ」の実現を掲げています。

出典)見附市:スマート ウエルネス みつけ を目指して

そんな見附市では、2017年に「スマートウエルネスみつけ」のシンボルとなる街「ウエルネスタウンみつけ」をオープンしました。これは「住んでいるだけで、健やかで幸せになれる街。」をコンセプトとした分譲地で、子どもから大人まで、健康で豊かに過ごせるような工夫が施されています。

出典)「ウエルネスタウンみつけ」WEBサイト

 

例えば、街区内では電線や電柱を地中化し、景観だけでなく災害時の電柱などの倒壊を未然に防いでいます。また、住宅と住宅の離隔距離や、建築できる住宅に条件を設定するなどして、省エネで健康に配慮した暮らしをアシストしています。

2004年に水害や新潟県中越地震といった大規模な自然災害を経験した見附市では「ウエルネスタウンみつけ」の中に、災害用マンホールトイレや一時避難場所としても活用できる防災倉庫を設けるなど、非常時の防災対策も施しています。

一方で、内閣府では、人口減少や高齢化といった社会課題に直面する今、地域全体のデジタル化によって「市民の幸福度(well-being)の向上」を図ることをスマートシティに取り組む意義・必要性と定義しています。

スマートウエルネスシティは、こうした社会課題に対して、心身の健康という側面からアプローチする方法の1つだと考えられます。「ウエルネスタウンみつけ」のような住環境が広がり、すべての人々や社会が“健幸”になれるよう、取り組みを見守りたいと思います。

制作:office SOTO 山下幸恵 Facebook