「脱炭素先行地域」第1回公募始まる、地域課題の解決も要件に

2022.02.14 Update

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「脱炭素先行地域」第1回公募始まる、地域課題の解決も要件に

環境省による「脱炭素先行地域」の第1回公募が始まっています。2030年までに少なくとも100ヶ所の脱炭素先行地域を創出するという目標に向けた第一歩です。

民生部門が中心の「脱炭素先行地域」

そもそも「脱炭素先行地域」とは、地域特性に応じて、2050年までに民生部門の電力使用によるCO2排出量を実質ゼロとし、運輸部門や熱利用による排出量も2030年に46%削減という目標に沿ったものとすることを目指す地域のことです。2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、地方自治体が中心となって地域の脱炭素化に取り組むことが求められています。

環境省は、今回の公募に先立ち2021年6月に「地域脱炭素ロードマップ」、同10月に「地球温暖化対策計画」を見直し、地方から始まる脱炭素ドミノのプランを練ってきました。また、2022年度予算案に「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」として200億円を新規計上し、2030年までにわたって継続的・包括的に支援するとしています。(参考『環境省の2022年度概算要求、脱炭素先行地域づくりに200億円』)

地域課題の解決も選定の要件に

こうした脱炭素先行地域の公募は、2022年1月25日〜2月21日が第1回目の受付期間とされています。提案は、単独の地方自治体のほか、複数の地方自治体による共同提案や民間企業や大学などとの共同提案も認められています。

脱炭素先行地域の選定要件として挙げられているのは、CO2排出量を実質ゼロにするだけでなく、脱炭素の取り組みによって地域課題を解決したり住民の暮らしの質を向上させたりといったことも含まれています。具体的には、地方創生に寄与する取り組みであることや、地域経済効果、防災効果、暮らしの質の向上などについて定量的・定性的に記述されていることなどが求められています。

地域から始まる“脱炭素ドミノ”

脱炭素先行地域の公募は年2回程度行われる予定です。1年に複数回の公募が行われるのは、助成金制度としては異例だと言えるのではないでしょうか。また、この年2回の公募が2025年度まで実施される見通しも公表されています。

環境省が力を入れる脱炭素先行地域、どのような地方自治体が手を挙げるのかが注目されます。具体的な取り組みが始まると、再生可能エネルギー発電設備の導入とともに、省エネの取り組みも加速が予想されるため、地域全体の脱炭素化がより一層進展するのではないでしょうか。地域の課題解決につながるような、個性豊かな脱炭素計画が集まることを期待したいと思います。

制作:office SOTO 山下幸恵 Facebook