企業のSDGs取組傾向について

2020.05.11 Update

SDGs

企業のSDGs取組傾向について

前回に続き、経団連SDGs事例集を活用して各企業のSDGs目標への取り組みの傾向について分析しました。

CSR、製品PRへの活用多し。サプライチェーンへの活用はこれから~カテゴリ分析~

まずSDGsに関する取り組みに対してカテゴリを5種類設定し、227個の事例がどのカテゴリに当てはまる事例なのかをひとつずつ見ていきました。

CSR:企業の社会的責任を果たすための活動、本業の周辺としての活動が中心

既存の製品・ソリューション:既にあった製品・ソリューションを再定義

新規の製品・ソリューション:社会問題の解決に役立つ製品・ソリューションを創造

ESG投資:環境・社会・企業統治に配慮している企業を重視・選別して行なう投資

サプライチェーン:自社と自社以外の取引先、サプライチェーンを巻き込んだ活動

図1 カテゴリごとの割合

この結果を見ると、既存の製品・ソリューションをSDGsの文脈で捉えなおしているパターンが45%と一番多くの割合を占めています。企業にとってはやはりこれが実践しやすいSDGsの手法となりそうです。また、次に多くの割合を占めるのはCSRとなっており、企業の社会的責任、環境にやさしい商品開発、生産の意識などが高まっているということが現れた結果と言えます。

一方、サプライチェーンの取り組みは4%と、最も少ないことがわかりました。サプライチェーンでの取り組みは自社だけでなく社外の関係者の連携が必要なためか、取組としてはまだ少ないようです。

ターゲットで一番人気は「住み続けられるまちづくりを」~ターゲット分析~

次に、ターゲット毎に取り組まれている件数を算出し、企業がどのターゲットに多く取り組んでいるのかを分析しました。

図2 ターゲットごとの割合

分析の結果、11「住み続けられるまちづくりを」が最大となりました。ひとつひとつの事例を見てみると、特に自動車や、輸送機関など安全かつ安易に利用できる輸送システムや、災害・防災に対する取組が多くなっているようです。

一方で最小となったのは10「人や国の不平等をなくそう」、16「平和と公正をすべての人に」となりました。この二つは、宗教、経済的地位、差別的な法律、税制、賃金、社会保障政策など、国家間の連携や政策の実施などが必須となるテーマであり、企業の取り組みにくい分野となっています。

新規ソリューション創出のカギはパートナーシップ?~カテゴリ×ターゲット分析~

次に、ターゲット毎に見たときにどのようなカテゴリ割合になっているかを分析しました。ほとんどのターゲットで、CSR、既存の製品・ソリューションが半数以上を占めるなか、「パートナーシップで目標を達成しよう」については新規の製品・ソリューションへの割合が高くなっています。企業のSDGsにおいて、新規ソリューションの創出の手法として外部との連携が多く用いられていることが読み取れます。

図3 ターゲット17の各カテゴリ割合

以上、経団連SDGs事例の各ターゲット設定やカテゴリについて分析しました。今後は、企業の業界・業種によって取り組むターゲットにどのような特徴が出るか、という視点でも分析をしてみたいと考えています。

Text by スマートシティニュース編集部