2025年の大阪・関西万博に向け開発進む「空飛ぶクルマ」とスマートシティ

2023.04.11 Update

スマートシティ eVTOL

2025年の大阪・関西万博に向け開発進む「空飛ぶクルマ」とスマートシティ

2025年の大阪・関西万博での運航に向け、開発が進む空飛ぶクルマ。大阪府が2022年3月に公開した「大阪版ロードマップ」から、空飛ぶクルマとスマートシティとの関わりを考えます。

 

空飛ぶクルマとは?

空飛ぶクルマとは、国が策定した「空の移動革命に向けたロードマップ」によると「『電動・自律飛行・垂直離着陸』の特徴を備える無操縦者航空機等による身近で手軽な空の移動手段」と定義されています。

空飛ぶクルマの1つ目の特徴である「電動」は、従来の内燃機関の乗り物と比べて、静かで環境にやさしく、整備性が高いというメリットがあります。2つ目の特徴である「自律飛行」に関しては、運航コストの低減が期待されます。3つ目の特徴「垂直離着陸」については、狭いスペースでの離着陸が可能になることから、移動の幅が広がると考えられています。

なお、空飛ぶクルマと似た言葉に「eVTOL(イーブイトール、Electric Vertical Take-Off and Landing aircraft)」があります。これは電動垂直離着陸機という意味です。無操縦者で飛行できるeVTOLの場合には、国の定める空飛ぶクルマとほぼ同義だと考えてよいでしょう。

 

 

新たな産業振興やまちづくりに役立つと期待

(空飛ぶクルマの利活用シーン。出典:大阪府『大阪版ロードマップ』)

 

大阪府では、空飛ぶクルマをタクシーや観光・レジャー、救急救命、災害対応などに活用することを想定しています。こうしたさまざまな用途に空飛ぶクルマを活用することで、人々の生活やまちに新たな価値と活力を与えられると考えています。また、輸送サービスや関連する保険サービス、まちづくりなど幅広いビジネスが広がることで、産業振興にも貢献できるとしています。

そのため、2025年の大阪・関西万博での商用運航を目指し、産学官が協力して空飛ぶクルマの具体的な課題や開発に向けた取り組みが進められています。2020年に府が設立した「空の移動革命社会実装大阪ラウンドテーブル」では、下図の通り3つのミッションを設定し、さまざまな角度から空飛ぶクルマの実装に向けて動いています。

(空飛ぶクルマの利活用シーン。出典:大阪府『大阪版ロードマップ』)

 

 

空飛ぶクルマとスマートシティ

では、空飛ぶクルマはいったいどのようにスマートシティに役立つのでしょうか。例えば、都市に空飛ぶクルマが導入されると、空飛ぶタクシーなどとして人を運ぶのに役立ちます。また、離着陸場の建設や運営、空飛ぶクルマを活用した商業地の開発などにもつながるでしょう。一方で、地方に空飛ぶクルマが導入されると、暮らしに必要なモノを運ぶ物流サービスに貢献すると思われます。現在も、ドローンを使った医薬品の配送などの実証事業が行われていますが、こうした事業が実用化されるかもしれません。

とはいえ、空飛ぶクルマの実装に向けては、インフラの構築や制度面の整備など課題が山積しています。2025年の大阪・関西万博での運航がモデルケースとなって、全国に拡大していくと予想されます。

(参考:大阪府/空の移動革命社会実装大阪ラウンドテーブル

制作:office SOTO 山下幸恵 Facebook