COP28閉幕、化石燃料からの転換や再エネ3倍増に合意。これからの気候変動対策のポイントは?

2023.12.29 Update

パリ協定 気候変動

COP28閉幕、化石燃料からの転換や再エネ3倍増に合意。これからの気候変動対策のポイントは?

アラブ首長国連邦(UAE)で開催されていた国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)が閉幕しました。2050年の温室効果ガスネットゼロに向けて、化石燃料からの転換が合意されたことや、世界全体の再エネ導入容量を3倍増するなど、いくつかの特筆すべき成果があります。この記事では、COP28のポイントについて解説します。 

ポイント①:化石燃料からの脱却

2023年11月30日から12月13日にアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催された国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)では、約200の国と地域が参加して今後の気候変動対策について議論しました。 

 もっとも激しい議論が交わされたのが、化石燃料に関するテーマでした。2021年に英国で開催されたCOP26では、石炭火力の段階的削減について合意されましたが、去年のエジプトでのCOP27では大きな進展はありませんでした。パリ協定の1.5℃目標を達成するには化石燃料の段階的な廃止が必要だとされ、COP28の主要テーマのひとつでした。 

 今回のCOP28では、化石燃料の段階的廃止には至りませんでしたが、「エネルギーシステムにおける化石燃料からの転換を、公正で秩序だった均衡な方法で行い、2050年ネットゼロの目標を達成するために、この10年で加速させる(Transitioning away from fossil fuels in energy systems, in a just, orderly and equitable manner, (and) accelerating action in this critical decade, so as to achieve net zero by 2050)」という文言で最終的に合意しました。 

ポイント②:世界全体の再エネ導入量を3倍増 

日本を含む110ヶ国あまりの有志国は12月2日、2030年までに世界全体の再生可能エネルギー設備容量を現在の3倍に増やし、エネルギー効率を2倍にする誓約に賛同しました。現在の3倍の再エネの導入量は1万1000MWに相当します。また、日本を含む20ヶ国以上は、世界全体の原子量発電の設備容量を3倍にする宣言にも賛同しました。 

この誓約は、世界全体で再エネ設備容量を3倍にするもので、日本国内だけで3倍にすることを約束したものではありません。しかし、パリ協定の1.5℃目標を達成するには、国内でも大幅な再エネ発電設備の導入拡大が求められます。太陽光発電の新設に関する制約などが高まる中、どのように地域と共生した再エネを増やしていくかは、引き続き、日本の気候変動対策における大きなテーマとなりそうです。

ポイント③:メタンガスの削減にもコミット  

メタンガスは温室効果ガスのひとつで、二酸化炭素(CO2)の約10倍の温室効果を持ちます。COP28では、開催前から議長国のUAEがメタンガス排出量の実質ゼロを掲げるなど、メタンガスの削減にも焦点が当てられていました。 

COP28の会期の前半では、多くの誓約やコミットメントが発表され、メタンガスの削減についても、12億ドルの気候変動対策基金を設置することで合意されました。  

メタンガスは、家畜のげっぷや稲作において発生するほか、埋立地からも排出されます。COP28のジャパンパビリオンでは、埋立地から発生するメタンガスを削減するのに役立つ廃棄物処理方法「福岡方式」について、環境省が発表しました。  

気候変動対策というとこれまで、CO2が主要なテーマでしたが、今後は、メタンガスなどCO2以外の温室効果ガスが着目されそうです。また、それに伴って、酪農や農業における気候変動対策も強化される方向に進むのではないでしょうか。 

(参考:https://www.cop28.com/http://copjapan.env.go.jp/cop/cop28/exhibition/details/moe-fukuoka/ 

 

制作:office SOTO 山下幸恵 Facebook