【スマートシティ×防災】いま気になる最新の取り組み事例2つ

2023.08.24 Update

スマートシティ 防災

【スマートシティ×防災】いま気になる最新の取り組み事例2つ

9月1日の防災の日が近づいています。台風シーズンと重なるこの時期は、防災への備えを改めて見直す好機だと言えるでしょう。今回は、いま注目の防災にフォーカスしたスマートシティのトピックスを2つご紹介します。

 

Smart City Takeshiba」、都市OSによる防災情報の統合

(出典:東急不動産株式会社プレスリリース)

東急不動産とソフトバンクは、東京都港区竹芝地区における共同プロジェクト「Smart City Takeshiba」において、防災の強化や来訪者の回遊性の向上などの取り組みを拡大するために、データ流通プラットフォームの活用を進めています。

総合デベロッパーである東急不動産とテクノロジーに長けたソフトバンクという両者の知見を組み合わせ、街の状況をリアルタイムに把握・発信できる防災サービスや、デジタルツインによる災害シミュレーションなどによって防災力の強化を目指しています。

現在、災害が発生すると、ニュースサイトやSNSによる防災情報、自治体からの情報などがそれぞれバラバラに発信されています。このように、データ同士が独立してうまく連携できていない状態を「サイロ化」と呼びます。今回のプロジェクトでは、都市OSを使ってサイロ化された防災情報を一つに統合し、自治体による情報発信の迅速化や避難誘導の効率化に役立てる取り組みが行われているのです。

多くの人が集まる都市部では、災害発生時に正しい情報を迅速に発信し、適切な避難を誘導することが重要。竹芝地区におけるチャレンジが、都市部の防災のあり方の一つのモデルになることが期待されます。

(参考:竹芝地区で推進するスマートシティのプロジェクト「Smart City Takeshiba」でリアルタイムデータを活用した都市課題解決の取り組みを拡大

 

「防災×テクノロジー官民連携プラットフォーム」の福知山市の取り組み

災害対応を行う自治体の困りごとやニーズと民間企業がもつ先進技術などをマッチングさせるため、内閣府が立ち上げたのが「防災×テクノロジー官民連携プラットフォーム」。略して「防テクPF」です。その一環としてマッチングサイトが開設され、自治体と民間企業などが交流する場としてのマッチングセミナーが定期的に開催されています。

これまでに行われたマッチングのモデルケースとして、京都府福知山市と通信建設業のエクシオグループによる避難情報発令支援システムを構築した事例を紹介しましょう。福知山市では、避難情報の発令を担当する職員が7名と、業務量に対してマンパワーが足りないという課題がありました。

そこで、災害情報の集約・分析・避難情報の発令判断を迅速かつ的確に行うため、他市の事例を調査したところ、類似の事例がなかったため「防テクPF」を活用。「誰にとって、どのような場面で、どのような課題があるか」というニーズを詳細に記載したことで、多数の事業者からマッチングのオファーがあったとのことです。マッチングした複数の事業者と打ち合わせを重ね、実証実験を行い、見積もりをとって予算を確保するプロセスを経て、最終的に公募型プロポーザルでエクシオグループを選定しました。

自治体が抱える課題の解決や、新たな事業へのチャレンジにあたっては、必ずしもほかの自治体による先行事例があるとは限りません。特に、課題の中には地域特性と深く関わっているものも多いため、他市の先行事例があったとしても横展開できるケースは少ないかもしれません。

そのため、ノウハウをもった民間企業に出会うことができる「防テクPF」の活用を検討することは有効な選択肢だと言えます。「防テクPF」によって自治体と企業とのマッチングが進み、多くの地域の防災対策がより強化されることを期待しています。

(参考:防災×テクノロジー官民連携プラットフォーム

制作:office SOTO 山下幸恵 Facebook