2024.09.24 Update
環境省の2025年度概算要求、前年比1.5倍の8704億円。再エネ水素を新規計上
環境省は8月30日、2025年度予算の概算要求を発表しました。合計額は8,704億円で、前年度当初予算から約1.5倍となっています。GX推進対策費が大幅に増額され、新規予算も盛り込まれました。スマートシティに関する内容をピックアップしてご紹介します。
地域における再エネ等由来水素利活用促進事業(新規40億円)
水素を再生可能エネルギーから製造し、貯蔵、運搬、利活用を目指す事業や、BCPなど水素の特性を活かした事業を支援するものです。40.6億円が新規に計上されています。具体的には、サプライチェーンモデルの構築やFS、既存インフラを活用した水素供給を低コストで行うモデル構築・実証などが挙げられています
(参考:https://www.env.go.jp/content/000248379.pdf)
建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業(100億円)
地方公共団体を含む業務用施設のZEB化や省CO2化に役立つ高効率設備などの導入を支援します。一部、農林水産省、経済産業省、国土交通省の連携事業となっています。国立公園利用施設や、上下水道、ダムなどの水インフラの脱炭素化も対象に含まれています。
(参考:https://www.env.go.jp/content/000248418.pdf)
地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業(50億円)
地域防災計画で災害時の避難施設などとして位置付けられた公共施設を対象に、再エネ設備や蓄電池を導入する際に活用できる補助制度です。昨年度当初予算の20億円から、大幅に増額した50億円が計上されました。対象は地方公共団体ですが、PPAやリース、エネルギーサービス事業で共同申請する場合には民間事業者・団体も申請することができます。
(参考:https://www.env.go.jp/content/000248422.pdf)
地域脱炭素推進交付金(762億円)
引き続き、地域の脱炭素を支援するために継続されます。2022年度に始まった重点対策加速化事業は、今年度に3年目を迎えるため、中間評価が実施される見通しです。脱炭素先行地域に関しては、2025年までに少なくとも100ヶ所を選定するとしていますが、これまでの5回の公募を経て、100ヶ所の達成が目前に迫っています。今後は、これらの取り組みをいかに実行に移していくか、効果を出していくかが問われる段階に突入するでしょう。
(参考:https://www.env.go.jp/content/000248421.pdf)
海洋プラスチックごみ総合対策費のうち 海洋ごみに係る削減方策検討・海岸地域対策推進事業(42億円)
海洋におけるプラスチック汚染対策を国際的に進めるために、大幅に増額の42.8億円が要求されました。日本が国際的な議論を主導し、国内外の関係者と連携・協力しながら取り組みを進めることが望まれています。
(参考:https://www.env.go.jp/content/000248438.pdf)
環境省の2025年度概算要求では、水素の利活用に向けた予算が計上されたことが最大のトピックです。脱炭素化の取り組みをビジネスに変え、地域の経済循環を生み出していくという狙いがあります。そうした取り組みの核となるのは地方公共団体であり、強いリーダーシップが求められます。
制作:office SOTO 山下幸恵 Facebook