第1回IoT(Internet of Things)勉強会第2部:低電力通信LPWA、ブロックチェーン、WELL認証

2017.07.07 Update

勉強会

第1回IoT(Internet of Things)勉強会第2部:低電力通信LPWA、ブロックチェーン、WELL認証

5月31日、スマートシティ企画株式会社のオフィス内でスマートシティプロジェクト(以下SCP)参加企業の皆様をお招きし、第1回IoT勉強会を開催しました。

この勉強会ではIoT、ビックデータ、AIが創造する新たな価値を発見し、SCP参加企業や協力企業が連携して事業開発に向かうことを目指します。

第1部では再生可能エネルギーのビジネストレンドについてシャープ株式会社の森本さんにお話頂きました。第2部ではスマートシティ企画株式会社のIoT担当である小野さんに、IoTに関する「現状の確認」「ビジネスチャンスの具体的な手がかり」の順でお話を頂きました。


IoTの現状

IoTを取り巻く現状を総務省 平成28年版 情報通信白書(※①)を参照しながら確認する。主な内容は「IoT時代におけるICT産業動向分析」「IoTに係る諸外国の政策的な取組」「企業におけるIoT導入の現状」「少子高齢化、人口減少時における需供バランス」「ICT成長による実質GDPへのインパクト」「国際環境における共通課題と個別課題」である。社会課題解決に向けてIoT活用の必要性が高まっている中、日本では51.5%の企業がデータの収集・集積に取り組んでいるのに対して、データを利活用したビジネスモデルの転換による付加価値の拡大を実現している企業が13.4%にとどまっているという現状がある。

ビジネスチャンスの具体的な手がかりとして、LPWA、ブロックチェーン、WELL認証を紹介する。

低電力通信LPWA

LPWAは低電力で広域をカバーする無線規格であり、IoTで使うことに特化して作られている。通信コストが安い・電池の持ちが良い・ユーザ機器側で接続の設定が必要ないというメリットがあり、海外では水道メータや配達サービス、見守り端末等に活用されている。

日本では、フランスのSIGFOX S.A.が提供するSIGFOX(シグフォックス)をKCCS/京セラが、LoRaWANを使用した通信サービスをソラコムが展開している例がある。LTEを拡張した通信規格であるNB-IoTも国内大手通信事業者で実証実験が進んでいる。ソニーも、LPWA方式の無線システムを独自開発している(Sony’s LPWAとし、名称やサービス開始時期は未定)。

ブロックチェーン

ブロックチェーンは発明当初においてはbitcoin(※②)を利用した取引を安全に記録するために作られた仕組で、Peer To Peer技術を用いて実現している。

ブロックチェーンによる台帳管理をシンプルに表すと図1のようになる。一定数の取引をブロックとして古い取引から新しい取引を鎖(チェーン)のようにつなげて管理する仕組である。

図では省略されているが取引を安全に記録して改竄を困難にするために様々な仕組が取り入れ可能となっているが、例えばBitcoin(※③)ではPKIを使った安全な記録方法と合わせ、改竄を困難にするために「困難な課題を大きなコンピュータパワーを使って解決する」仕組を取り入れている。現在、ブロックチェーンは様々な取引を記録する媒体としてBitcoin以外へも応用の幅が広がっている。

ブロックチェーン
図1 ブロックチェーン

WELL認証

WELL認証(※④)は、人間の健康や快適性・生産性の向上を目的にオフィスビルなどを評価する制度で、2014年に米国で始まった。

評価項目は「空気」、「水」、「栄養」、「光」、「フィットネス」、「快適性」、「心」の7分野にわたる。欧米ではWELL認証を満たしていないとテナントに入居してもらえない場合もあり、不動産の価値や企業価値、社会保障費の軽減、就業率の向上、退職率の軽減を決めるうえで大きなポジションを占め始めている。

日本でも国が働き方改善を主導しており、WELL認証がこれからのトレンドとなることが予想される。WELL認証では3年毎に更新が必要なことから、評価項目の継続的な維持が求められる。環境を維持するためには見える化と改善が必須とされるが、全てを人手により見える化することは事実上困難な状況であることから、IoTの活用を合わせて取り組むことが重要となる。7項目を詳細に見ていくと、換気、CO2濃度、照明、温熱環境などを今までより人にフォーカスして測定するセンサーが必要となることが想定される。この部分に着目して、IoTの技術を活用できる可能性がある。


講演後、参加メンバー間ではLPWAやブロックチェーンの仕組みと実際の活用方法や、WELL認証を日本に応用するための方法など、より具体的な議論に関心が集まっていました。例えば、ブロックチェーンの応用例としては小規模な電力取引や登記履歴の管理のようなアイデアが参加者から出て来ました。 今回探ったビジネスの手がかりを、次回以降はより具体的に事業として検討することで、スマートシティプロジェクト参加企業の連携によりIoTの新しい価値創造・課題解決につながることが期待されます。

<注>
※①http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/h28.html
※②bitcoin:小文字のbのときは仮想通貨を示す
※③Bitcoin:大文字のBのときはbitcoinで使われるブロックチェーンを示す
※④http://www.shimz.co.jp/news_release/2017/2017004.html